聞いたことはあるけどよくわからない…「安全配慮義務」とは??

事業を経営している方や人事の仕事に携わっている方は、「安全配慮義務」という法律について聞いたことがあるかと思います。

安全配慮義務とは

しかし、どのような義務なのか、具体的に何をしたらいいのかわからずに戸惑っている方も少なくないのではないでしょうか。

今回は「安全配慮義務」について、企業としてどのような対応を行っていけばいいのかをご紹介していきます。

●安全配慮義務とは

 安全配慮義務とは、従業員が安心して働くために必要な企業側の義務のことです。2008年に施行された労働契約法という法律によって定められています。

 安全配慮義務は、大きく分けて「物理的な作業環境」と「精神面・健康面」という2つの柱があり、例として以下のようなものが挙げられます。しかし具体的な内容が、法律によって明確に定義されているわけではありません。それぞれの職場や職種・業務内容に合わせて配慮を行うことが適当と考えられています。

「物理的な作業環境」

危険な機器や薬品の取り扱い、設備・気温といった職場環境、定期的な機械点検整備など

「精神面・健康面」

長時間労働を未然に防ぐ、メンタルヘルス対策など

●安全配慮義務に違反となるかどうかの基準

 安全配慮義務違反となるかどうかは、以下の3つの基準があります。

・企業側が事故を予想できたか。企業側が予測していなくても予想できたと判断できる状況か

・企業側が起きた事故を回避できる可能性はないか

・企業側の安全配慮義務が欠けていたことと事故の因果関係はないか

 労働災害が発生した場合、以上の基準のどれかが疑われると、企業としてかなり不利な立場となります。損害賠償請求をされる可能性もあります。しかし、たとえ同じような労働災害でも十分な対策を講じていれば、安全配慮義務が問われることはありません。

●安全配慮義務違反とならないために

 安全配慮義務違反とならないための企業の対策として、4つポイントがあります。

・労働環境の整備

設備や機器の点検・整備、安全確保ができている作業手順かどうかの見直し、新たな設備を導入することで負担を軽減できないかどうかの確認、安全保護具の重要性や使い方・災害が起こった時の対応や救命救急の研修など

・メンタルヘルス対策

産業医や産業保健スタッフとの連携、ストレスチェックや健康診断、社内カウンセラーなど相談窓口の設置など

・ハラスメントやいじめのない職場づくり

どのようなことがハラスメントや差別となるのかということについての研修や社員教育など

・労働時間の管理

家に持ち帰って仕事をしていないか・無駄な残業はしていないか勤務実態の把握、有給取得率の管理など

●安全配慮義務は企業の義務と責任

 安全配慮義務に違反してしまうと、巨額の損害賠償請求をされる可能性や職場の責任者が訴えられる場合もあります。その結果、企業としての評判が下がったり、売り上げが落ちるといった影響も考えられ、企業として待ったなしに取り組むべきものとなっています。

 しかし前述のようなリスクもさることながら、安全配慮義務は、労働者との円滑な関係を築くための企業の義務と責任と言えます。労働者の意見も聞きながら労働環境を見直し、より快適な環境を提供できれば、きっと企業にとって良い影響が望めるはずです。

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