企業に求められる対策「アンガーマネジメント」~メンタルヘルス対策~

人間の持つ感情のうち、厄介なものの一つが怒りの感情です。

近年、パワハラが社会問題となり、報道で取り上げられることも多くなりました。パワハラが横行している会社では、社員は委縮し、本来の能力を活かせず生産力は低下してしまいます。また、もしパワハラ行為が事件として明るみになった場合には、組織の社会的評価へも大きな影響を及ぼします。 このように、ハラスメント被害者を出さないことは、人権擁護や働きやすい職場づくりのためだけではなく、組織人として意識すべきリスク対策の一つでもあります。今回は、パワハラ防止にも有効なアンガーマネジメントを取り上げていきます。

●アンガーマネジメントとは

 アンガーマネジメントとは、「怒りをコントロールするスキル」のこと。アンガーマネジメントは「怒らないこと」ではなく、「怒りの感情と上手に付き合うこと」です。「怒り」も大事な感情の一つです。しかし我を忘れて怒ったり、いつまでもイライラをリセットできなかったりすることが問題言動へと派生することが多いため、アンガーマネジメントが求められているのです。

●どうやる?アンガーマネジメント~怒りをコントロールする方法~

 怒りの感情は最初の6秒がピークだと言われています。この6秒間をいかにやり過ごすかが重要です。怒りをコントロールするのに始めやすい3つの方法をご紹介します。

1.怒りを点数化する

 怒りは、「激怒」や「憤怒」などの非常に重いものから、「イライラ」「気分を悪くした」といった軽いものまで、幅の広い感情です。怒りを感じた時に、自分がどれくらい怒っているのか、怒りの強さを10点満点で点数化すると、その時々の怒りの感情を客観視することができます。どんな出来事が自分にとって最も強い10点の怒りとなるのか、考えておくといいでしょう。

2.落ち着く言葉(コーピングマントラ)を唱える

 コーピングマントラは、自分の怒りを鎮める言葉として使われます。言葉の意味で心を変えるというよりも、怒りの感情がピークに達する6秒間をやり過ごすことが目的です。自分の唱えやすい言葉を準備しておきます。例えば、「落ち着け 落ち着け 落ち着け」

「こういう考えの人もいる、こういう考えの人もいる」など、なるべく短い言葉で、リズムのある言葉にした方が繰り返しやすいです。

自分の「べき」を考える、伝える

 人は、「こうあるべき」と考える自分の信条が裏切られた時に怒りを感じます。しかし、「こうあるべき」の範囲は人それぞれです。

 例えば、「男は強くあるべき」と信じている上司は、部下が弱音を吐くたびにイライラします。怒りを感じた時に自分の「べき」を振り返ることで、冷静に相手と話し合う気持ちが生まれます。

 自分の「べき」を認識し、その上でそれを主張する方がいいと感じた時には、主語を「私」にして伝えます。例を上げると、上司である自分に連絡なしに仕事を進めた部下を叱るような状況では、

「どうして連絡しなかったんだ!勝手な行動をするな!」

と相手を責めるのではなく、

「連絡がなかったから話を聞いた時にはびっくりしたよ。事前に話してもらわないと、仕事がうまく進まなくなってしまうことがあるんだ」

というように、自分を主語にして伝えるようにしましょう。

●まとめ

 昔は、「仕事優先」という価値観は会社員なら共通のものと考えられていました。しかし現在は、仕事・お金・健康・子ども・趣味など人生における価値観は様々です。感情に任せて自分の価値観を押し付けてしまうと、そんなつもりはなかったのに相手は「パワハラだ」と感じてしまう可能性もあるのです。

 現代はダイバーシティ社会。様々な価値観を受け入れ、上手に自分の感情と付き合っていければきっと組織にも良い空気が流れることでしょう。

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