ジョハリの窓を活用して開かれた組織に!~メンタルヘルス対策~

 仕事をする上で、人間関係やコミュニケーションが大切だということは、誰もが認識していること。

しかし実際には、どう思われるかが気になってしまって思っていることが言えない、誰も発言せず会議が活性化しない、といったことは日常的に起こっているものです。

 今回は、社内のチームビルディングや、他者と関わりやすくなることでストレス軽減にもつながる自己分析方法「ジョハリの窓」についてご紹介いたします。 

●ジョハリの窓とは?

 ジョハリの窓とは、自分が認識している「自分」と他人が認識している「自分」の情報を切り分けて分析し、他者との円滑なコミュニケーションを模索するための心理学の手法です。

 ジョハリの窓では、4つの窓があると考えて自己分析をし、そこから人間関係やコミュニケーションを円滑にすることを目的とします。

ジョハリの窓の4つの窓

・開放の窓 Open Self

自分が考える自分の性質と他人から見えている姿が一致している領域。

この窓の項目が多いと、自分が自分の性質に気付いていない・自己分析ができていない状態です。気付かぬうちに相手を不快にさせていることもので、この窓はできるだけ小さくしおくと良いでしょう。

自分では気づいていなかった性質を受け入れることで、この領域は狭まります。

・秘密の窓 Hidden Self

「自分は知っているけど、他人は知らない」領域。

この窓の項目が多いと、自分の性質を他人に隠している部分が多く、個性をうまく表現できていない状態です。自己開示ができていないと親近感や信頼感を得ることは難しいので、「秘密の窓」は小さいほど良いとされています。自分をオープンにすることで、この領域を狭めることが可能です。

・未知の窓 Unknown Self

まだ誰からも知られいてない、未開発で潜在的な性質を表す領域。

「盲点の窓」と「秘密の窓」を小さくして、開放の窓を大きくすると、「未知の窓」に気付くことができます。「まだ知らない自分」に気付くことで、自己成長の可能性が生まれます。

 ジョハリの窓の理論では、「開放の窓」が広ければ広いほど良好なコミュニケーションを築くことができると考えられています。一般に、図のように、「盲点の窓」「秘密の窓」「未知の窓」を狭め、「開放の窓」を広げていくことが理想とされています。

ジョハリの窓図1

●ジョハリの窓のやり方

 社内研修でジョハリの窓を実施する際には、グループ内でお互いの印象や性格などを記述していく方法が一般的です。

あらかじめ、以下の様な「人の性質や能力に関する項目」を20項目程度ピックアップしておく

社交的である、責任感がある、根性がある、信頼できる、リーダーシップがある、ユーモアがある、頭がいい、礼儀正しい、慎重である、判断力がある、聞き上手である、話し上手である、協調性がある、行動力がある、親切である、向上心がある、発想力がある、プライドが高い など

  • グループ分けをし、それぞれのメンバーの名前が記載された用紙を準備

 5~10人程度の人数になるようにグループ分けをします。自分を含めた各メンバーの名前が記載された用紙を用意します。

  • 自分の性質や能力を記す

 2で準備した自分の名前が記載された用紙に、ピックアップされた「性質や能力に関する項目」のうち、当てはまるものを書いていきます。

  • 各メンバーの性質や能力を記す

 次に、2で準備した各メンバーの名前が記載された用紙それぞれに、ピックアップされた「性質や能力に関する項目」のうち、当てはまるものを書いていきます。

  • 結果を集計し、ジョハリの窓に当てはめていく

 名前の記載された用紙を本人のもとに集めます。各自、自分で記入した用紙と他のメンバーが自分のために記入した用紙を見比べながら、以下の様にジョハリの窓に当てはめていきます。

・自分も相手も書いている特徴 → 開放の窓へ

・自分は書いていないが、相手が書いている特徴 → 盲点の窓へ

・自分は書いているが、相手は書いていない特徴 → 秘密の窓へ

・自分も相手も書いていない特徴 → 未知の窓へ

例)自分は自分の用紙に「社交的である」と書かなかったが、誰かが自分の用紙に「社交的である」と書いていた場合、ジョハリの窓の図に当てはめると以下の様になります。

ジョハリの窓図2

●ジョハリの窓の効果

 社内研修でジョハリの窓を採用することには、どのような効果があるのでしょうか。

・「秘密の窓」を小さくし自己開示を行うことで、ストレスが軽減され、チームの信頼関係が築かれる

 職場ではなかなか本来の自分を出せないという方も多いでしょう。ジョハリの窓を実施すると、「自分が思っている自分」と「他の人が思っている自分」の違いがはっきりし、客観的に自分を見つめなおすきっかけとなります。各自が、自分の「秘密の窓」を目に見える形で理解することで、自己開示を促すことができます。ありのままの自分を出すことができるようになることは、互いの信頼関係を高め、自身のストレス軽減にもつながります。

・グループワークを通じて、従業員同士のコミュニケーションが活発になる

 組織内でジョハリの窓を実施すると、改めて普段自分が抱いている相手の特徴や印象を言葉にすることになります。さらにグループ内で作業することで、お互いに相手の性格や性質をよく理解することとなり、組織内でのコミュニケーションが円滑化されます。

●開かれた組織に

 自分自身をよく理解し、周りにも自分をよく理解してもらい、無理をしなくても自分を出せる環境は誰にとっても心地良いもの。そのようなオープンな職場では、様々な意見が飛び交い、議論も活発化することでしょう。メンバー全員が知恵を絞って目標実現していくことは、組織の成長に結びついていくはずです。ぜひジョハリの窓を活用して、様々なアイディアの行き交う開かれた組織を目指してください。

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